なぜCS-Cart for ECモール & マーケットプレイスでは、Stripe以外の決済代行サービスを利用できないのか

ECモールやマーケットプレイスの運営を検討されている皆様、決済システムの選定でお悩みではありませんか?
「既存の決済代行サービスをそのまま使えばいいのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、実はそこには大きな落とし穴があります。今回は、CS-Cart for ECモール & マーケットプレイスがなぜStripe Connect 以外の決済代行サービスを利用できないのか、その理由をわかりやすくご説明します。
「普通の決済代行サービス」では、ECモールやマーケットプレイスは運営できない
通常のECサイトで導入されている決済代行サービスをECモールやマーケットプレイスで利用することには、以下の問題があります。
1. 資金決済法上の「為替取引」に該当するリスク
一般的な決済代行サービスは、単一の事業者(ネットショップ)が使うことを前提に作られています。これをECモールやマーケットプレイスで使うと、以下のような流れになります
購入者 → 運営者の口座(一括受領)→ 後日、各出店者へ分配

この仕組みは、資金決済法上の「為替取引」に該当する可能性があります。為替取引に該当する場合、資金移動業の登録が必要となり、登録なしに行えば法令違反となってしまいます。
「資金移動業者になればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、
- 最低資本金:1,000万円以上
- 供託金:未達債務の額と同額以上(最低1,000万円)
- システム構築費用:数千万円〜数億円
- 専門人材の確保:コンプライアンス責任者、内部管理責任者など
- 監査・報告体制:定期的な当局への報告義務
これらを合わせると、初期費用だけで億単位、年間運用コストも数千万円という規模になります。ECモールやマーケットプレイス運営のためだけに、これほどの投資は現実的ではありません。
2. 出店者の本人確認(KYC)を自前で構築する膨大なコスト
通常の決済サービスには出店者の本人確認機能がありません。しかし、ECモールやマーケットプレイスでは出店者のKYC(Know Your Customer)/KYB(Know Your Business)が必須です。
KYCシステムを自前で開発・運用すると以下が必要となります。
- 本人確認システムの開発費用:数百万円〜
- 個人情報保護法への対応:セキュリティ体制の構築
- 本人確認書類の管理:収集・保管・更新の仕組み
- 審査体制の構築:専門知識を持つスタッフの配置
これらは初期投資だけでなく、継続的な運用コストとして重くのしかかります。
3. 出店者間の資金混在による混乱
通常の代行決済サービスでは、全ての売上がいったん運営者の口座に入ります。このことが大きな問題を引き起こす可能性があります。
問題の例 :
- 100人の出店者がいるマーケットプレイス
- 月間1万件の注文
- 運営口座には全出店者の売上が混在
この状態で返金やチャージバックが行われると以下のような問題が発生します。
- どの出店者の売上から差し引くべきか管理が複雑
- A店の返金をB店の売上で一時的に立て替える事態が発生
- 負の残高が発生した際、他店の資金で穴埋めすることに
4. 決済代行会社の規約違反
そもそも、多くの決済代行サービスはサブマーチャント(出店者)の存在を想定していません。これらのサービスは単一の事業者が自社の商品・サービスを販売することを前提に設計されており、ECモールやマーケットプレイスでの利用を明確に禁止している場合も少なくありません。
もし規約違反が発覚すれば、アカウントが即座に停止され、ビジネスが一瞬にして止まってしまうリスクがあります。これは、順調に成長していたマーケットプレイスにとって致命的な打撃となります。
5. 会計・税務の混乱
通常の決済サービスを使った場合、資金の流れと会計処理が一致しないという深刻な問題が発生します。
運営者の口座に全ての売上が入金されるため、各出店者の正確な売上管理が極めて困難になります。さらに、インボイス(適格請求書)の発行主体が曖昧になり、「実際に商品を販売した出店者」と「決済を受けた運営者」の間で矛盾が生じます。
これらの問題は、税務調査の際に資金の動きを説明できないという事態につながります。監査法人や税務署から「なぜ他社の売上があなたの口座に入っているのか」と問われても、明確な回答ができません。
Stripe Connect の特徴
規約違反の心配なし
Stripe ConnectはECモールやマーケットプレイスでの利用を前提として設計されたサービスです。そのため、規約違反を心配すること無く、安心して導入・運用できます。
資金が「正しい場所」に直接届く
CS-Cartでは、Stripe ConnectのDestination chargesという仕組みを採用し、以下の流れで資金が移動します。
購入者 → Stripe → 即座に各出店者のアカウントへ(取引手数料は自動で差し引き)

運営者の口座に一時的にでも資金が滞留しないため、資金決済法に抵触するリスクを最小化できます。
また、運営者が出店者から徴収する取引手数料は自動で運営者のアカウントに振り分けられます。自社の収益を容易に把握することができ、透明性の高い会計処理が可能となります。
本人確認機能を標準搭載
Stripe Connectでは、出店者の本人確認機能(KYC/KYB)を標準搭載しています。
- 本人確認データ・身分証画像の収集:Stripeの規定に基づき実施
- 審査プロセス:審査作業はStripeが実施
- 身分証明書データの管理:Stripeが安全に保管・破棄(CS-Cart上では保存しない)
- コンプライアンス対応:各国の規制に自動対応
ECモールやマーケットプレイス側で仕組みを構築することなく、出店者の本人確認を実施できます。
日本の法規制に準拠した入金システム
CS-Cartでは、出店者からのリクエストに応じて自動で銀行口座に振込する仕組みと、90日間経過前に強制的に出金できる仕組みを採用しています。
これはStripeが日本向けに定めた「資金の保留は最大90日まで」という制限に準拠したシステムです。不正利用や返品に備えて一定期間の保留は必要ですが、無期限に資金を留めることはできません。CS-Cartはこの規制を遵守しながら、出店者の利便性と安全性の両立を実現しています。
なぜCS-Cartは「Stripe Connect一択」なのか
CS-Cart for ECモール & マーケットプレイスは、安全で持続可能なECモール / マーケットプレイス運営を目指して開発されました。
他の決済サービスを「なんとか使えるように」カスタマイズすることも技術的には可能です。
しかし、それは以下のリスクを抱えながらECモールやマーケットプレイスを運営することを意味します。
- 資金決済法に抵触するリスク
- 本人確認システムの開発・運用に関する莫大なコスト
- 個人情報漏洩のリスクと責任
- 複雑な運用による人的ミス
- スケール時の破綻リスク
ECモールやマーケットプレイスの運営において、決済システムは単なる「お金を受け取る仕組み」ではありません。法令遵守、リスク管理、本人確認、会計の透明性など、ビジネスの基盤となる重要な要素です。
CS-Cart ではStripe Connect(Customアカウントタイプ)を採用することで、これらの問題を解決し、運営者の皆様がビジネスの成長に集中できる環境を提供しています。
他の決済代行サービスを利用できない理由は、決して対応を怠っているためではありません。
皆様のビジネスを守り、安心して成長していただくための、確固たる設計思想に基づく選択であることをご理解いただけますと幸いです。
