トータルでいくらかかる?モール型ECサイトの構築・運用コストをプロが解説

この記事でわかること
この記事では、「商品やサービスを提供する事業者」と「それらを購入したい消費者」を繋げるモール型ECサイトの立ち上げをお考えの起業家・新規事業担当者のみなさんに向けて、
- モール型ECサイトの構築方法
- モール型ECサイトの構築にはパッケージ製品の利用がおすすめな理由
- パッケージ製品を使ったモール型ECサイトの構築・運営コスト
- おすすめのモール型ECサイト構築パッケージ
- モール型ECサイト構築パッケージ選びのポイント
について詳しく解説します。

<プロフィール>
- 株式会社メクマの共同創業者
- 「CS-Cart for ECモール & マーケットプレイス」の開発責任者
- マッチングサイト構築パッケージ「mekuma」の開発責任者
- 「【プロが解説】どっちを選ぶ? ECモール vs マーケットプレイス 徹底比較」の著者
- CS-Cartとmekumaを通じて、100件以上のECプラットフォーム立ち上げに関わる
モール型ECサイトの構築方法
モール型ECサイトを構築する方法は主に以下の4種類があります。それぞれに特徴があり、予算や要件に応じて最適な方法を選択する必要があります。

1. WordPressのプラグイン
WordPressの拡張機能(WooCommerce + MultiVendorX など)を利用してECモールを構築する方法です。初期コストを抑えられる反面、大規模な運用には向いていません。小規模なスタートを考えている場合の選択肢となります。
WordPressプラグインによるモール型ECサイト構築の特徴
- 低コストで導入可能(プラグインとデザイン費用などで数万円~数十万円)
- サポートおよび日本語対応は期待できない
- ECモール運営に特化した製品ではないため制約も多い
- 市場ニーズの把握などを目的としたプロトタイプ的な利用であればおすすめ
2. SaaS型製品
ShareTribe や Arcadier といったクラウドサービスを利用してモール型ECサイトを構築する方法です。初期費用を抑えられ、運用・保守の手間も少なくなりますが、カスタマイズには制限があります。
SaaSによるモール型ECサイト構築の特徴
- 初期費用を抑えて導入可能(月額数千円~数万円)
- 運用・保守の手間が少ない
- カスタマイズに制限あり
- 日本向けサービスがほぼ存在しない
3. フルスクラッチ開発
完全にゼロからシステムを構築する方法です。要件に100%マッチしたシステムが作れる一方で、開発には多大な時間とコストがかかります。大規模なプロジェクトや、特殊な要件がある場合に検討される選択肢です。
フルスクラッチ開発の特徴
- 完全オーダーメイドの開発が可能
- 開発期間は半年~1年以上
- 高額な開発費用(3000万円~)
- 保守・運用コストも高額
モール型ECサイトは、「運営者」「出店者」「購入者」という3つのステークホルダーが存在する複雑なシステムです。単なるECサイトと比べて、出店者管理や売上の配分、コミッション設定など、考慮すべき要素が多岐にわたります。そのため、自社のためだけにゼロから構築するのはコストパフォーマンスが低く、非効率的です。特殊な業態や、既存システムとの複雑な連携、厳格な法規制対応といったよほどの事情がない限り、他の方法を検討することをおすすめします。
4. パッケージ製品
モール型ECサイトの運営に必要な機能が標準で揃えられたパッケージ製品を利用する方法です。フルスクラッチと比べると費用を抑えることができ、カスタマイズも可能です。
パッケージ製品を利用したモール型ECサイト構築の特徴
- モール型ECサイトに必要な機能を標準搭載
- カスタマイズ可能
- フルスクラッチ開発と比較して低コスト(300~3000万円程度)
- 豊富な導入実績
おすすめはパッケージ製品による構築
モール型ECサイトの構築においては、機能の豊富さと自由度の高さ、そしてコストパフォーマンスの観点から、パッケージ製品をおすすめします。

おすすめポイントその1 : 豊富な機能
各システムベンダーが販売しているパッケージ製品には、
- 出店者管理:テナント情報の管理や審査機能
- 商品管理:商品情報の登録・編集・在庫管理
- 受注管理:注文の確認・ステータス管理
- 売上管理:売上レポート・集計機能
- 決済機能:各種決済手段への対応
- レビュー機能:商品レビュー・評価システム
など、モール型ECサイトの運営に必要不可欠な各種機能が標準で搭載されています。そのため、構築に関する工数を大幅に削減することができます。また、これまでの導入事例において機能の検証が行われているため、フルスクラッチ開発と比較して安定した稼働が期待できます。
おすすめポイントその2 : カスタマイズ可能
パッケージ製品は標準機能が充実しているだけでなく、必要に応じて機能をカスタマイズすることもできます。
- デザインのカスタマイズ:自社ブランドに合わせたデザイン変更
- 機能の追加・変更:業務に合わせた機能の調整
- 既存システムとの連携:基幹システムやCRMとの連携
- 独自の運用フロー対応:企業独自の業務フローへの対応
おすすめポイントその3 : コストパフォーマンス
パッケージ製品は
- WordPressプラグインやSaaSと比較して機能が豊富でカスタマイズの自由度も高い
- システムベンダーによる日本語でのサポート提供
- スクラッチ開発よりも費用・工期を大幅に削減可能
という特徴を持つ、機能性と費用のバランスがとれた選択肢といえます。
パッケージ製品を利用したモール型ECサイト構築・運用のコスト
それではパッケージ製品を利用してモール型ECサイトを構築・運用する場合、どれくらいの費用が発生するのでしょうか?
どのパッケージ製品を採用するかにより大きく変動しますが、おおよそ
- イニシャルコスト : 300~3,000万円
- ランニングコスト : 数千円~数十万円(社内の人件費は除く)
程度だと言われています。
イニシャルコスト
イニシャルコストは、モール型ECサイトを立ち上げる際に初期段階で必要となる費用です。金額はパッケージ製品より様々ですが、ライセンス費用が 200~1,000万円、オプション料金やカスタマイズ費用、導入費用といったその他の費用が100~2,000万円ほどかかることが多いです。
ランニングコスト
ランニングコストは、モール型ECサイトを運営していく上で継続的に発生する費用です。例として
- システム利用料、保守料
- サーバー利用料
- SSL証明書費用
- クレジットカードや銀行振込などの決済手数料
などが挙げられます。ランニングコストの金額もイニシャルコスト同様に、パッケージ製品によって毎月数千円~数十万円と大きく異なります。パッケージを提供するシステムベンダーにしっかり確認しましょう。
モール型ECサイト構築パッケージ5選
モール型ECサイト構築パッケージは、様々なシステムベンダーから提供されています。機能の充実度、価格帯、サポート体制、カスタマイズ性など、それぞれに特徴があり、自社の要件や予算に合わせて選択する必要があります。ここでは、国内市場で実績のある5つのパッケージ製品についてご紹介します。
1. CS-Cart for ECモール & マーケットプレイス
株式会社メクマが提供するモール型ECサイトやマーケットプレイスの構築・運営に特化したシステムパッケージです。
1,500件以上の導入実績があり、商品・注文管理や顧客管理などの基本機能はもちろん、テナントの本人確認や売上の振込まで、モール型ECサイトやマーケットプレイスの運営に必要な機能がこれ1本で揃います。

2. ebisumart
株式会社インターファクトリーが提供する、中規模から大規模のECビジネスに対応するクラウド型ECサイト構築プラットフォームです。
モール型、マーケットプレイス型のどちらにも対応可能で、柔軟なカスタマイズや豊富な拡張機能を提供します。さらに、専任の運用サポートや多彩な料金プランを通じて、企業の成長をサポートします。

3. ecbeing
株式会社ecbeingが提供する、モール型、マーケットプレイス型のいずれにも対応し、目的に沿ったECサイト構築を実現する中堅・大手企業向けシステムです。
カスタマイズ可能なストアフロント、統合された決済システム、高度なマーケティングツール、詳細なデータ分析、マルチチャネルサポートなど、多機能なソリューションを提供します。

4. makeshopエンタープライズプラン
GMOメイクショップ株式会社が提供する「makeshopエンタープライズプラン」では、流通額No.1 ECサイト構築サービス「makeshop」をベースにモール型ECサイトを構築できます。
モール構築から運営・販売促進・集客までmakeshopの650以上の機能を利用可能。
オリジナルのデザイン作成機能もあり、独自のモールを立ち上げ、運営できます。

5. EC-ORANGE MALL
株式会社エスキュービズムが提供する、ショッピングモール型ECサイトの構築を専門とするパッケージサービスです。マルチテナント型やマルチブランド型など、多様なビジネスモデルに対応しています。
各テナントごとに異なるカートと決済システム、共通または個別の会員管理、商品管理など、柔軟な設定が可能です。高いカスタマイズ性を持ち、企業のニーズに応じたECサイトの構築を支援します。

パッケージ選びのポイント
モール型ECサイト構築パッケージを選ぶ際は、初期費用だけでなく運用開始後の実務まで見据えて、以下の5つのポイントを重点的に確認しましょう。

ポイントその1 : 必要な機能が標準搭載されているか
自社のモールに必要な機能が標準で搭載されているかを確認します。必要な機能がオプション対応であったり、カスタマイズが必要な場合はコストアップに直結します。特に以下の二つの機能は見落としがちなので注意が必要です。
- 出店者の本人確認機能
-
モール型ECサイトでは、モールの運営者を経由して出店者に売上金が入金されます。マネーロンダリングや反社対策の観点から、クレジットカードによる支払いを受け付けるには各出店者の本人確認が必要です。(本人確認が行われない場合は、決済代行サービスの審査を通過できません)
そのため、パッケージ製品に出店者の本人確認機能が搭載されていることが望ましいです。外部のe-KYCサービスなどを利用することもできますが、パッケージ製品との繋ぎ込みなどが必要となり追加コストが発生します。
- 売上金の振込機能
-
売上を集計し、取引手数料などを差し引いた金額を各出店者の銀行口座に振り込む機能が搭載されているかも是非チェックしましょう。手動で集計や振込手続きを行うのは人件費アップにつながりますし、煩雑なためミスも発生しがちです。
ポイントその2 : カスタマイズのしやすさ
標準機能で自社のニーズをカバーできない場合、カスタマイズで対応することになります。以下を確認することをおすすめします。
- ソースコードを自社で確認・変更できるか
- システムのコア部分を改変せずに機能を追加できるか
- 開発ベンダーを選択できるか(特定ベンダーにのみカスタマイズを依頼できる、いわゆる「ベンダーロックイン」でないか)
- APIが開放されており、他システムと容易に連携できるか
ポイントその3 : 管理画面の使いやすさ
モール運営スタッフや出店者の作業効率に直結する管理画面の操作性について、以下の点を確認しましょう。
- 直感的に操作できるか
- 必要な情報にすぐにアクセスできるか
- バッチ処理や一括操作に対応しているか
- マニュアルが整備されているか
- 試用環境が提供されており、採用決定前に充分に検証できるか
ポイントその4 : 運用サポート体制
安定したモール運営のために、パッケージベンダーのサポート体制を確認しましょう。
- 導入前の質問にしっかり回答してもらえるか
- テクニカルサポート窓口が整備されているか
- マニュアルやドキュメントが整備されているか
- 製品のオンラインアップデートに対応しているか
- 購入後一定期間は無料で返品、解約に対応しているか
ポイントその5 : 費用
自社のニーズに応えるモール型ECサイトを予算内で構築・運営できるか、以下の費用の内訳を事前に確認しましょう。
イニシャルコスト
- パッケージの本体価格
- パッケージ本体以外の初期費用(設定費用やサーバー構築費用など)
- オプション料金やカスタマイズ費用
ランニングコスト
- システムの月額利用料
- システム保守・アップデート費用
- サポート費用
- サーバー費用
- クレジットカードなどの決済手数料
- 運用スタッフの人件費
CS-Cart for ECモール & マーケットプレイス の費用
当社が開発・販売を行う「CS-Cart for ECモール & マーケットプレイス」には買い切り型(パッケージプラン)とホスティング付きのサブスクリプション型(サーバープラン)の二種類があり、ニーズに合わせてお選びいただけます。
198万円 (税込)
自由度と長期コスト削減を両立
- 永続ライセンス:期間の制限なく使用可能
- 自由なサーバー選択。既存インフラを活用可
- 追加の月額費用なしで長期的なコスト削減
- 1年間の無料アップグレード
- 180日間の無料テクニカルサポート
- 30日間返金保証
98,000円 /月 (税込)*
安心のサポートでらくらく運用
- 専用クラウドサーバーで運用
- SSL証明書、バックアップ込みで運用負荷削減
- セキュリティパッチの適用代行
- 契約期間中はサポートとアップデート無料
- 当社製の有料アドオンを無料提供
- 30日間返金保証
*年間契約 (12ヶ月分一括払い)の場合。月払いの場合は119,800円/月 (税込)
まとめ
モール型ECサイトの構築は、「運営者」「出店者」「購入者」という3つのステークホルダーが存在する複雑なシステムです。各ステークホルダー間で金銭の授受も行われるため、慎重な検討と準備が必要です。構築方法を選ぶ際は、特殊な要件がない限り、機能とコストのバランスがとれたパッケージ製品の利用をおすすめします。
モール型ECサイトを構築するためのパッケージ製品は複数のシステムベンダーにより提供されていますが、その費用は
- イニシャルコスト: 300~3,000万円
- ランニングコスト : 月額数万円~数十万円
と製品によって大きく異なります。
パッケージ製品を選ぶ際は、まず自社のモールで必要となる機能を明確にし、それらが標準で搭載されているか、あるいは追加開発が必要かを見極めることが大切です。また、運用面でも、管理画面の使いやすさやサポート体制など、実務に関わる要素をしっかりと確認しましょう。機能の過不足や運用効率は長期的なコストに大きく影響するため、自社の要件を慎重に整理したうえで製品を選択することが重要です。ぜひ、本記事で解説した内容を参考に、自社に最適なソリューションを選択してください。